建設工事の現場等に必ず掲げなければならない標識に、建設業許可票というものがあります。建設業許可票は工事現場に資格保持者がいることを示すほか、工事を担当する業者がこれまでも正しく仕事をしてきたという証明にもなり、業者に対する信頼につながります。
この許可票にはもちろん記載が必要な内容などの取り決めがあるのですが、掲示する許可票そのものにサイズ指定があることはご存知ない方も多いのではないでしょうか?
そこで、今回は建設業許可票のサイズに関する規則や、設置すべき場所など許可票にまつわる注意点をご紹介します。工事の際は必ず必要になるものですから、正しい知識を身につけておきましょう。
目次
注意しよう!建設業許可票の設置について
建設業許可票には、建設業法に基づいて細かい規定が定められています。建設業法に違反すると処分が科せられてしまい、場合によっては刑事罰を受ける可能性もあるため注意しましょう。
許可票を掲げていない場合は罰金になる
建設業許可を取得した際は、店舗や工事現場の見やすい場所に建設業の許可票を掲示しなければならないという義務があります。こ許可票を掲示していない場合は違反とみなされ、建築業者には10万円以下の罰金が科せられてしまいます。
許可票はどこに設置すればよいの?
許可票を設置する場所は、「店舗や工事現場の見やすい場所」でなければいけません。この見やすい場所とは『第三者の視点から』見やすい場所という意味であるため、事務所の中や現場の中から見える壁ではなく、道路側などへ貼り出す必要があります。
設置場所がふさわしくない場合には、やはり罰則の対象になってしまいます。
「建設業許可票」は2種類ある
実は、建設業許可票にも建設工事現場用のものと店舗用のものとがあります。許可票ごとに記載が必要な項目や規格が異なるため、状況に応じた許可票を掲示していないと規定違反になってしまいますから、注意してください。
それぞれの許可票の詳細については、次章で解説しますね。
【その1】「建設工事現場用」の建設業許可票のサイズや特徴を解説
先ほど述べた2種類の許可票のうち、建設工事現場用の建設許可票のサイズや特徴は以下の通りです。
「建設工事現場用」の掲示内容を確認しよう
建設工事現場用の建設許可票に記載する必要のある内容は、以下の8点です。
1.商号又は名称
2.代表者の氏名
3.一般建設業又は特定建設業の別
4.建設業許可を受けた業種
5.許可番号
6.許可年月日
7.その建設工事の現場の主任技術者または監理技術者の氏名・資格名・資格者証交付番号
8.その建設工事の現場の主任技術者または監理技術者の、専任の有無
上記の項目について、記載漏れがないよう注意しましょう。
「現場用」の建設業許可票サイズは「たて25㎝以上 よこ35㎝以上」
建設工事現場に掲示する許可票のサイズは、たて25cm以上、よこ35cm以上と定められています。下限は設定されていますが、上限はとくにありません。
許可票は工事をすすめる業者が信頼のおける業者であることを示すためのものでもあるため、工事現場をおおう壁に大きく貼り出す場合もあります。
【その2】「店舗用」の建設業許可票のサイズや特徴を解説
次に、ある企業の本店や支店、営業所などに掲示する店舗用の建設許可票のサイズや特徴について解説します。
「店舗用」の掲示内容を確認しよう
店舗用の建設許可票に記載する必要のある内容は、以下の7点です。
1.商号又は名称
2.代表者の氏名
3.一般建設業又は特定建設業の別
4.許可を受けた建設業
5.許可番号
6.許可年月日
7その店舗で営業している業種
建設工事現場用のものとは内容が若干異なりますので、注意しましょう。
「店舗用」の建設業許可票サイズは「たて35㎝以上 よこ40㎝以上」
店舗に掲載する許可票のサイズは、たて35cm以上、よこ40cm以上と定められています。建設工事現場用よりも大きめに規定されていますが、こちらも上限はありません。
建設業許可票の作り方について
建設業許可票は建設業の許可を取った際、役所でそのまま看板を受け取ることができると思っている方もいらっしゃるのではないでしょうか?
しかし、実際には「許可通知書」というA4サイズの紙が1枚届くのみなのです。この紙の記載内容を元に、建設業許可票は自分で作成しなければなりません。
【DIY】自分で作成
実は、建設業許可票は記載内容や掲示場所に規定があるものの、材質に規定はありません。そのためエクセルなどを用いて許可票を作成し、印刷して紙を貼り出すといった掲示方法でも問題ありません。
ただし、サイズはもちろん規定通りのものでなければいけません。間違ってもA4用紙に印刷して貼り出すといったことがないように注意してくださいね。
プロへ依頼する
自分で看板が作成できないという場合は、プロの力を借りることになります。工事現場用のものとしては簡易的なアクリルの許可票を発注して済ませる方もいるのですが、店舗用には金色や銀色の看板に印字や刻印した許可票を発注する方も多いようです。
先ほども説明しましたが、許可票には色や材質に規定はないので金色や金属である必要はありません。しかし、建設業界では昔から店舗用として金色や銀色の建設業許可票を掲げているところが多いのです。
その習慣から、建設業許可や許可票のことを「金看板」と呼ぶこともあるそうですよ。
信頼できる業者選び方のコツ
許可票の制作を依頼するにあたって、業者選びは大切なポイントです。「金属製の看板をと思って依頼したのに、金属のような加工をした単なるシートに記載事項が印刷されただけのものが届いてしまった……」というケースも、まったくないわけではありません。
思い描いていたデザインとかけ離れたものが届いてしまったが、規定に違反しているわけでもないためひとまず納得したことにして、高いとは思いつつしぶしぶそのまま使用する……なんてことはしたくないですよね。
嫌な思いをしないためにも、業者選びのコツをおさえておきましょう。下記のような特徴がある業者には、とくに注意した方がよいでしょう。
・許可を取得するとどこからか営業の電話をかけてくる業者
・材質や内容が明示されず、送料や追加料金などが明記されていない業者
そのほか、トラブルに巻き込まれないために業者に見積りを依頼する際は工事の内容や料金等を明記してもらうとよいでしょう。また、工事後に追加料金が発生する可能性があるかどうかも事前に確認するとより確実です。
まとめ
今回は建設業許可票について、規定のサイズや設置する場所による違いを説明しました。
現場用と店舗用の建設業許可票には、それぞれたて25cm以上・よこ35cm以上、たて35cm以上・よこ40cm以上という規格が定められています。また、掲載場所や内容などにも記載事項が決められていますから、法律を遵守して許可票を作成しましょう。
許可票には「業者の信頼性を示す」という意味合いもあるため、その点でよく目立つ金や銀の看板は非常に有効です。アルミやステンレス製のものなどであればそれほど高い料金ではないため、店舗用に業者へ依頼してもよいでしょう。